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5軸マシニングセンタによる高効率・高精度金型加工技術

No.18

2-3.3軸と5軸割出加工の時間比較

表3.は、ある金型部品における3軸と5軸割出加工のトータル時間の比較表である。図面検討から、プログラム作成時間、段取り作成、加工時間などを含めたトータル時間として比較を行った。


表3.3軸と5軸割出加工のトータル時間比較例

この事例では、シミュレーション時間以外は、全ての項目で5軸割出加工の方が短時間となった。5軸割出加工は、3軸加工に対してトータル時間で約50%減の結果となり、大きな効果があることがわかった。類似品であれば、さらに工程の見直しを進めることで短縮は可能と考えられる。

項目別に比較すると、段取り製作および芯だし・取付で大きな差が見られる。理由は、5軸割出に比べて、3軸加工では工程数が増え、人の介在が増えたためと考えられる。5軸割出は、途中で、取付・芯だしなどに人の手が入らないので、精度的にも有利である。

このように、5軸割出加工は、3軸加工に対して、工程集約、リードタイム短縮が図れ、加えて高精度化にも大きな効果があることがわかる。

2-4.切削シミュレーションの問題

3軸加工では、CAMの進歩によって、ホルダー干渉など含めた加工データを作成することが可能となり、データ作成後、シミュレーションしなくても加工上の問題がないレベルになっている。また、安価なシミュレーションソフトも多く、CAM側にホルダー干渉などの機能がなくても対応可能となっている。

一方、5軸加工では、最近の5軸CAMに、干渉チェック機能など付加されてきたが、切削シミュレーションソフトを使用するケースが多い。これは、機械構造などをSTLファイルにて読み込ませて設定すれば、仮想5軸加工機を構築してシミュレーションができるので、加工プログラムを安心して、加工者に渡すことができる。

しかし、前項にも記載したが、実用上いくつかの課題が残っている。

  • @ シミュレーションに時間が掛かり過ぎる。
  • A 機械構造以外に、工具や対象ワーク、段取りの形状データの設定が必要。
  • B CAD側で作成した対象ワークなどのSTLデータが取り込めないケースがある。

などである。
このため、粗加工だけのシミュレーションを実施したユーザーが中仕上げ以降で衝突させてしまったケースもある。

このように、5軸加工では、加工パス表示の確認だけでOKと言う訳にはいかない。たとえば、CAM画面上で形状に表示された加工パス(図6)を確認しただけでは、機械本体がどのように動作するか想像しにくい。加工中、作業者が衝突を予知しにくく、このあたりは、ソフトメーカーの迅速な対応を要望したい。


図6.CAM上の加工パス表示画面例

3.オークマ5軸加工機の紹介

弊社は、門形構造で主軸頭旋回式5軸と3軸立形マシニングセンタMB-Vの主要構造をベースにしたトラニオン形旋回テーブル式5軸MU-Vシリーズを有している。

3-1.門形M/Cシリーズ

門形M/Cは、MCR-BU(写真1)に代表されるように、加工用途にあった多彩なアタッチメントを選択できることから、自動車金型構造の加工機として型関係ユーザーからの幅広い支持を受けている。


写真1.門形M/C MCR-BU

ここで、5軸加工向けアタッチメントを2つ紹介する。

(1)傾斜アタッチメント

傾斜アタッチメントは、ボールエンドミルの周速の高い場所を使った形状部加工や、カム機構をもった傾斜面の多い金型構造体の加工に有効である。主軸の熱変位は、割出方向に加味してX,Y,Zの各軸に自動補正をするので高精度な加工が実現できる。

(2) 同時5軸ヘッド

同時5軸ヘッド(NC-BC軸ユニバーササルアタッチメント)を搭載したモデル加工機も商品化されている。これは、新車開発時の検証用として、実車大モデル作成時のクレーモデル加工として開発された。Zストロークは、ワンボックスカーに対応できるよう2600mmの長ストロークであり、1回のセットで全形状を加工できる。


次に、トラニオン形旋回テーブル式5軸MU-VシリーズのMU-500VA(写真2)について紹介する。

3-2.5軸制御立形M/C MU-500VA

本機は、MU−400Vの上位シリーズとして開発された機種で、自社開発のダイレクトドライブモータ(以下、DDモータ)駆動のトラニオンタイプの旋回テーブルを有する。更に、複合主軸との組合せることで、旋削加工を可能とした5軸複合M/Cシリーズも用意している。


写真2.5軸制御立形M/C MU-500VA

主な特長を以下に述べる。

(1)「サーモフレンドリーコンセプト」の採用による熱安定性と優れた操作性

立形M/C MB−66Vをベースとしたサーモフレンドリー構造(*1)により、優れた熱安定性を実現しており、多面加工などの長時間加工においても、安定した加工寸法を可能とした。

また、加工範囲は、X1,250×Y660×Z540、最大ワークサイズφ730×H500と大きい。前面ドアの開口幅は、最大1510mmあり、ワーク交換、段取り、加工確認など操作性に優れている。

(2)「高速・高精度トラニオンテーブル」の採用

A/C軸のトラニオンテーブルは、自社開発の低発熱・高トルクDDモータ駆動と高精度角度エンコーダを搭載し、高速・高精度化を実現した。また、旋削加工用主軸もオプション対応しており、旋削+5軸の工程集約を可能としている。

(3) 衝突防止機能「アンチクラッシュシステム」の採用

従来、初品加工時にプログラムミスなどに起因する衝突を防止するために、送り速度を下げたり、目視にて位置を確認するなどの作業が必要であった。

これに対し、予め登録された工具やワーク、治具、機械構造物の3Dモデルデータを使い、リアルタイムにシュミレーションしながら干渉チェックすることにより、アンチクラッシュシステムが実現化できた。

この機能は、干渉発生を予測検知し自動的に機械を停止させるので、チェックのための時間ロスをなくし加工準備時間の短縮が可能となる。また、手動での段取り作業では、オペレータは刃先に集中するため、周辺との干渉に気が回らなくなって発生する衝突も回避でき、心理的負担もなくなる。特に、5軸は、動きも複雑になり、通常機以上に干渉への配慮が必要であったので、こういったミスがなくなる点の安心感は大きい。