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ユーザー訪問:No.10 山口精機株式会社

No.10 山口精機株式会社

機械加工の現場から

本当のチャンスはここから
【工場新設はやる気と鍛錬の場づくり】

山口精機を牽引するのは山口姓の人たち、全従業員数50名のうち、約2割が親族だという。身内同様の付き合いをしている人も加えればもっと多い。つまり身内によって、特急品などの無理な注文にも対応できる点が山口精機の強みだ。

世間では、同族経営に対しての風当たりはきつい。それは身内への甘えといったことを指しているのかもしれないが、実際にはその逆で、低コスト化が望まれかつ短納期という辛く厳しい仕事は他人に任せられない。

昨年(2001年)の5月、長野上信越自動車道の富岡I.Cの近く、甘楽郡甘楽町に山口精機第2工場を建設、稼動した。かつて、先代社長の時代に工場拡大を検討し、隣地の買収を躊躇ってからどれほどの年月を経たことだろうか、しかも景気の底割れが懸念されるなか、あえて新工場の始動に踏み切ったのである。

新工場を運営するのは山口家の第三世代たちだ。これについては、本社からの支援は一切なく、受注から材料の仕入れ、加工、検査、納品までを自主運営によって行うという条件である。新工場が成功するか否かは、若い人たちの力量に委ねられた格好だ。

山口隆夫専務は、創業の苦しみを体験するうえで必要なことであり、技術を修練し研鑽することがなにより大切だと言う。本社工場にいて、余程のミスさえしなければこれまでの実績を継承することができる。新工場を設け、開拓に乗り出すことはリスキーな挑戦だ。しかも、本社工場は援助をしない。このことからも、身内に極めて厳しい姿勢が見て取れる。それが真の思いやりなのかもしれない。

新工場は、念願ではなく挑戦であり、規模拡大ではなく人材育成のための投資である。現在、第2工場は順調に稼動、若い世代はやる気に満ちている。これには「本社工場が、見習う立場になってしまった」と、山口隆夫専務は本社工場の面目を掛けて自彊するべく叱咤する。


【技術を育てる設備投資 】

本社工場には、NC旋盤、タッピングセンタ、フライス盤、研磨機などが並ぶ、これまで訪ねてきた工場と比べると、その歴史を感じさせないほどきちんと整頓されている。主力機械の設置された主工程エリアには、個々の製品における加工手順と確認事項が、カラー写真入りの作業指標に示されていて分かりやすい。これも徹底した品質管理の一つだ。

しかし、これではぜんぜんダメだと、山口和之製造部長は首を横にふる。

本社工場から、車で直ぐの第2工場へ来て、その意味を実感した。規模こそ本社工場の比ではないが、切削加工の工場でここまで徹底して基礎設備を充実させ、整然と造られた工場もめずらしいに違いない。

各マシニングセンタへ配電される電力配線から、温度センサーで工場内の室温を自動コントロールする空調に至るまで、完璧と言っていいほどの環境が整えられている。ここでなら、温度変化に敏感に反応する金属の精密加工が余裕をもってできる。

本社工場はNC旋盤を主力設備とし、第2工場にはマシニングセンタが設置されている。こうした機械配置により、二つの工場での役割も明確になっているのだが、いずれも専用機としてではなく、汎用機として稼動している。これは、キャッチフレーズに掲げられたあらゆるニーズに応えるためである。機械の大半はオークマ製である。当然、OSPがセットされている。

現状でのOSPについて聞くと、「他社製は、高速設定に演算がついていけない、制御指示が伝達されずに不安定な状態となってしまう。その点、OSPの場合は大丈夫」と山口和之製造部長。切削送りでマックス10,000回転にも追随するOSPの処理能力が評価された。タービン用ブレードの削りだしなどでオークマ製の優秀さが立証されている。先述した操作性や入力時の扱い安さ、独自のコピー機能などもあげられた。


【「品質至上」の経営理念 】

山口精機の企業案内に記された山口耕一社長の経営方針には、「小数精鋭」、「品質管理の厳重管理」、「技術の開発&研究」とある。また、全社員に向けて行動規範として示している「品質方針」には、『われわれは、顧客の信頼と満足を得るために全社員一丸となって、「早く、安く、良い」物造りに徹し、最高品質の製品を提供する。』とある。

本社の応接間には、2000年(平成12年)の12月に取得した「ISO9002」の認定証と並び「一社一技術」という認定証(群馬県が独自に行っている県下の優秀な技術を有する企業に対する認定であり、これを受けると融資保証などの特典が付与される)が飾られている。ここにも、経営理念に「品質至上」を掲げていることの気概が感じられる。

山口精機は、山口竹好氏によって設立されて以来、今日まで「品質至上」、「技術一筋」という大方針が継承され、この先も継承され続けていくことは間違いない。

どうやら、山口精機を牽引する山口一族には、過去、現在、未来と、モノづくりへの飽くなき挑戦という技術者魂、発明家のDNAが存在しているようだ。

因みに、山口精機の資本金は5000万円、現在の年商は約10億円、総従業員数50名である。工場経営での課題は、第一下請けの切削加工という仕事上、作業効率をどこまで上げることができるかだという。

今回、ユーザー訪問した山口精機の規模をどう見るかは、人それぞれ解釈のしかたが異なるところだろう。ただ、最後に、山口隆夫専務の言葉を借りれば、「たとえ小さな町工場の加工技術であったとしても、どこの誰でもできるというものではない。小さくとも難しい技術に取り組んでいる工場は数ある。そして、そうしたところが狙えるターゲットも必ずある」加工業にとって、本当のチャンスはまだこれからなのだ。

思考は繊細にして行動は剛胆に「窮すれば変じ、変ずれば通ず」を実践してきたが、その基本となるものは、高度成長時代も不況下のいまもまったく変わらない。