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ユーザー訪問:No.11 株式会社ニシムラ

No.11 株式会社ニシムラ

機械加工の現場から

インタビュー
ユニークな経営思想が「モノと人を結ぶ」

月に450時間というお話がありましたが、現状の勤務体制ではいかがでしょうか。

木下社長

私が現役で機械を動かしていた頃は、1年365日のうち360日くらいは仕事に出て来て、38才くらいになるまでそれを続けました。

でも、正月くらいは休みにされたのでしょう。

木下社長

いえいえ、元旦も仕事をしていましたよ。親父が亡くなったとき、大豊工業さんが「ニシムラさんのことだからもちろん仕事は休まないのでしょうね」と言われ、「その通りです」と答えました。事実、通夜の席から葬儀場へ行く途中に会社へ車を寄せて全社員で献花し、古参の社員数人だけが葬儀に列席しましたが、会社では仕事をしていました。大豊工業さんも言われていましたが、それがあの親父には相応しいはなむけだったと思います。

社長の葬儀でも休まなかったのですか…。で、今はどうですか。

木下社長

私自身、つい最近までは全社員が仕事を終えて帰るまでは決して帰りませんでした。ところが、現在は日替わり交替で残業をしているわけで、それに付き添って毎日残っていたら身が持ちません。今はだいたい8時くらいには帰らせてもらっています。息子の話で恐縮ですが、彼は月に1回休むか休まない状態で、終業するのは毎日0時くらいです。

相変わらず忙しいですね。ご子息はどんなお仕事をされていますか。

木下社長

息子は学校を出てから直ぐにオークマさんでご厄介になり、次に大豊工業さんから預かってもいいとお声を掛けていただきましたので、そこで経験させていただき、その間にはトヨタケーラムでも勉強させていただきました。25才で会社へ来ましたが、それまで色々と勉強をさせていただいたおかげで、三次元モデリングや工法開発設計の充実を図ることができるようになりました。技術者としては認めますが、経営者としてはまだまだこれからです。

それにしてもニシムラさんのところは皆さんが働き者ですね。

木下社長

会社運営において人に何かを押しつけるとか、人を使うという気持ちは一切もっていません。例えば新人が入社するときには、「ニシムラは技術集団です、目的を持って仕事をしています」と言います。「目的」というのは、年間売上、利益、ボーナスの支給目標といった具体的な数字目標のことで、さらに、中長期の3年、5年計画といったビジョンまで明確に示しています。

新入社員でも役員扱いですね。

木下社長

社長と社員の関係では、互いに良好なパートナーシップを築いているというのが根底にあります。会社を運営していくために、社長から全社員の一人ひとりがそれぞれ必要とする持ち場で実力を発揮する、それによって一人ではできないより大きな力を発揮できます。ある人は図面を作成する、ある人は機械を操る、私は経営という仕事をする、というように、会社とは一人ひとりが作業分担を持って働く場です。これは全社員の一致した考えで、それぞれがパートナーシップです。10数年前に課長や部長といった職位をいっさい廃止しました。ただ、株式会社ですから社長だけは必要なので私がやっています。

フラットな条件で、徹底した実力主義ですね。

木下社長

仕事内容により能力のある人、そうでない人というのはどうしても差が出てきます。ただ、それと年功序列や学歴尊重という考え方とは一致しないと思います。実際にどれだけ実力を発揮できるかが重要なのです。社員の給与を決めるのに導入しているのが、社員による相互人事評価です。これで70%の部分を決め、残りの30%は本人の将来性や社員間ではわかりにくい部分として社長が評価しています。しっかりとした仕事をたくさんやる人は、20代でも月50万位の給与を得ています。うちにはそんな人がいっぱいいますよ。

この時代、同業他社と比較したら雲泥の差ですね。永く会社に勤めてこられた方など、それなりのポストに就きたいという思いはありませんか。また、定年制についてはどう考えられますか。

木下社長

若い頃というのは誰でも体力があって、少々の無理を押しても平気で働けます。しかし、年を増すと無理はできません。その代わりに、長年にわたって蓄積してきた経験値や技術ノウハウが頭の中にいっぱいあります。それを若い人が持ち得ないものとして、技術指導や人材育成という部分に振りあてていけばよいと考えています。つまり、年齢には年齢に応じた役割があります。そうしたうえで、年長者が若い人たちに教えることがなくなったとき、また、教えてもらえないと若い人たちが感じたとき、はじめて定年を迎えるという判断に至るのではないでしょうか。私が定年を決意するときは、このガラス張りの部屋で、みんなの視線に耐えられなくなったときです。

なるほど、定年を決めるのも相互人事評価というわけですね。先ほどから大胆なお話の連続で面食らうことばかりですが、その全てにニシムラさんならではのユニークな経営スタイルを感じます。

木下社長

私は「一工程一会社」ということを言っているのですが、それぞれの工程毎に毎日の収支決算をしまして、経営感覚を持った仕事をするというのを実践しています。これによる成果は、社員の一人ひとりが会社を運営しているという自覚を持てることです。一方、会社の収支報告は毎月全従業員に対して行っていますから、みんなが経営数値をよく理解しています。

中身もガラス張りですか、経営に自信がなければできませんね。

木下社長

トップが自信を持てなければ、社員も自信を持って仕事ができません。特にこれから次代を担う若い人には、真の実力社会のなかで自信を持って仕事に取り組んでもらいたいと思います。

社員の年齢構成はどのくらいですか。

木下社長

最年長は私の50才代、その下に40代、30代、20代というようにピラミッド型に広がっています。平均年齢は30才少し上といったところです。全員が経営感覚を身につけ、社内は社長のコピーでいっぱいです。

ユニークで面白いお話がどんどん出てきますが、最後に一言だけ木下社長のとっておきの言葉をお聞かせください。

木下社長

コスト競争だの、技術の流出だのと世間で色々と言われていますが、究極は人が決めてやることではないかと思います。どんなに最新鋭の設備があっても、それを動かすのは人です。つまり技術力というのは、人間力ということではないでしょうか。

常に最高の品質に挑む姿勢、そこから素晴らしい業績を生み出すもの、そういったものの源泉となる大切なことを教えていただいた思いがします。ユーザー訪問は、ここでまたひとつ、日本の加工業が秘めた底力に触れた思いがします。ありがとうございました。