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ユーザー訪問:No.12 株式会社布施製作所

No.12 株式会社布施製作所

機械加工の現場から

「パター」追求の結果出した結論は・・・

かくして一躍脚光を浴びることになった小田のパターには、プロをはじめマニアを魅了する幾つかの理由があった。

小田のパターは、極めて高精度な仕上がりで他を大きく引き離していたが、魅力はそれだけではなかった。その真髄はもっと実質的な理由、つまりパターを使うゴルファーの立場に立った繊細な使用感、「打感」といわれている部分における違いだった。

そもそもゴルフは、メンタルなスポーツである。打感が優れたパターは、ボールの転がりもよく、伸びがよい。これによりゴルファーは爽快感を味わい、理想的なイメージを脳裏に構築する。ベストプレーを続けるゴルファーがホールアウトに向けた一打ごとに、最良のリズム感を保てるのも「打感」が影響しているといえるのではないだろうか・・・。

打感の良いパターはどうすれば可能か、という点を徹底的に追求した小田は、試行錯誤した結果、素材とフェイスの構造に工夫が必要であるという結論に達した。まずウエイトバランス、次にパターのフェイスがボールを捉えて押し出すときがポイントだった。幾つかの素材を試した。これまでもよく使われていた軟鉄、その削り出しがもっとも良いと分かった。なぜなら、異なる材質の組み合わせはウエイト調整が容易だが、使っているうちに必ずバランスが崩れる、だからといって、プレー中にクラブを調整することなどは許されない。

余談だが、JGA(日本ゴルフ協会)のルールでは、クラブは基本的にヘッドからグリップまでが一体となって分離不可能である事を規定している。プレー中にヘッドをネジ込んで組み立てたり、グリップを差し替えたりするのは違反となる。ただ、例外として長尺パターでゴルフバッグに入れて運ぶのに長過ぎる場合に限り、シャフトの中ほどで分離・接続しても良い事になっている。

常に安定した打感、バランスの崩れないパター、それには無垢材の削り出ししかなかった。加工でもっとも難しいのは、フェイス面の肉厚だった。ここが厚ければ打感が損なわれる。しかし、薄くするのは素材が軟鉄であることもあり、削り出し加工では難しく、これまではせいぜい2ミリ厚までが限界だった。加工できたとしても、ボールを打つ面であるだけに衝撃が加わって歪みや陥没といった変形が考えられたのである。それでもフェイスの厚さは1ミリジャスト、これが小田の出した結論だった。