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ユーザー訪問:No.12 株式会社布施製作所

No.12 株式会社布施製作所

機械加工の現場から

パターの魅力を支える匠の技

「言うは易し、行うは難し」である。軟鉄の塊を削り出してパターの形状を作り、さらにフェイス面の肉厚を1ミリジャストに整えるまで削ることは、言うならば「名人芸」だった。想像に違わず加工段階で無理をするとフェイスにヒビが生じやすい。また、うまく削れたとしても、ボールを打つことでフェイスが変形してしまう。何度打っても、常に安定した打感を保ち、ゴルファーが信頼を寄せて使えるパターでなければならなかった。

1ミリ厚のフェイスを支える形状、その周囲の厚み、そしてバランス、設計から加工までの全ての面において、パターに小田の研究と技術が注がれた。

こうして完成したのが、三次元精密加工のインナーミルド工法により削り出したマレットタイプのパターで、インナーミルド中空構造と世界で最も薄い1ミリのシンボード・フェイスによって、驚くほど深い重心深度とワイドなスイートエリア、高いフェイス反発性能を実現した。「オダ・パター」である。

立体物を削り出す三次元精密加工に限らず多くの削り加工の現場では、完成までの過程にあって、加工内容とその状況(短時間・高精度)にフィッティングさせるための様々な工夫が求められる。この工夫こそは、プログラミングであったり、工具あるいは加工物の保持方法(チャッキング)であったりと、各現場において多種多様な隠し技がある。

小田には、かつてのジグづくりにおける豊富な経験があった。それをチャッキングの工夫や加工段取りにおいて活かすことができた。

小田のジグづくりの経験が活かされている例が、社屋3階に特設したパターエリアに置かれていた。オリジナルパターテストマシーンである。これは、一定の条件を保った状態で、試作パターや他社製パターの特徴を知ることができる装置として小田が作ったものだった。パターに限らず全てのクラブにおいて、重要なロフト角やライ角の調整まで行えるようにした。市販されていた健康器具を改造したそうだが、それ自体は商品にはならないものの、小田のジグづくりの経験が生んだ立派な発明品である。

「オダ・パター」についてのパテントを尋ねてみたところ、小田は落ち着いた口調で言い切った。「誰も同じものは出来ないよ」と。