オークマ株式会社
オークマメリット
オークマ株式会社 HOME
ユーザー訪問:No.12 株式会社布施製作所

No.12 株式会社布施製作所

機械加工の現場から

匠に信頼されたOSP

再び話を戻すが、「トガン・アペックス」でデビューした小田は、その後もパターの完成度をいっそう高め、国内メーカーはこぞって小田が削り出したパターをマーケットに乗せた。何れも作りが精巧なだけに値は張ったが、それに余る価値があった。やがて小田の作るパターの評判は、確実にゴルフ界に浸透していった。それをプロが見逃すはずはなかった。とりわけ、パターにこだわって「パターコレクター」とまで言われていた細川和彦プロは、小田のパターを一目で気に入った。「私だけのパターを作って下さい」細川プロは小田に自分のパターを託した。

小田はその言葉に身震いした。プロのための、プロだけの一本をつくる。それは、剣豪のために一振りの名刀を打つ刀鍛冶の心境にも似ていたからである。まさに技術者名利に尽きる仕事だった。

小田は、細川プロの求めるパターを完成するために、厳しい注文に応えて幾度となく作っては手直しを繰り返した。

細川プロがこだわり抜いたのは、アドレスフィーリングだった。打つ時の構えやすさから、洗練されたフォルムとしての安心感まで、プロの注文はかなり徹底していたという。小田の考案したパターテストマシンでロフトやライ角調整も行った。そして遂にシャープで構えやすく安心感のあるフォルム、軟鉄独特の柔らかな食いつき感と確かなヒット感が味わえるパターが一本完成した。だが、その一本は、一本であって一本ではなかった。

なぜなら、シーズンを通して、いやプロとしての生涯にわたる全プレーにおいて、いつでも同じものを用意できなければ、プロがパターに託す信服に応えられないからである。見かけだけの画一品ではだめだ、寸分変わりない細川プロだけの特製パターを複数作り上げなければならないのだった。

それには、加工の基本設計となる削りのプログラミングからやることが求められた。確実に同じものを削り出すためのプログラミング、それを機械に伝える制御装置、小田が信頼したのがオークマのOSPだった。

プロゴルファーが匠の技を信頼し、匠はOSPを信頼した。小田は、機械メーカーが自社の製品として開発した制御装置であることを高く評価している。すでに使い古した感はあるが「機電一体」、という言葉が脳裏に浮かび上がった。これまで回を進めて来たユーザー訪問で、これだけは不思議と一致したものだった。

「確実に信頼できる制御のOSP、それと一体となって削る機械の精度、このコンビネーションがオークマを選択する最大の理由です」

小田はズバリと言った。

布施製作所本社の一階の入口を入ってすぐのところには、まだバリバリの現役で使っているというCNC旋盤LB9があった。その隣には、MX-45VAがある。むろん現在のパター加工の主役はMXの方である。工場というよりも、むしろ匠の工房と言った方がしっくりくる。本社からクルマで1、2分のところにもう一つの工房があり、そこにはMX-45VAが2台設置されていた。二ケ所に増やしたのは、高級品ながらも根強い需要に応えるためだ。

現在、パター加工には長男の徳昭氏が参加している。そして、プログラミングの方は次男の義彦氏が担当している。それぞれ得意とする分野の受け持ちだ。会って話を聞くと、お二人ともなかなかしっかりしている。「オダ・パター」これを作る匠の技は確実に受け継がれると確信した。