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ユーザー訪問:No.16 株式会社 和田製作所

No.16 株式会社 和田製作所

機械加工の現場から

2.世界の空を分ける
【航空機業界のいま】

世界の二大航空機メーカーの一つであるボーイング社は、本国よりもコストの安いアジア圏で部品の製造・組立を行っている。日本もそこに含まれ、メインパートナーとして三菱重工業が行っている。

こうして海外で製造組立した部品類は、最終的にはボーイング社の生産拠点であるアメリカシアトル(現在、ボーイング社の本社はシカゴ)で飛行機として組み立てられている。

一方、ボーイング社の競合先となるエアバス社は、ヨーロッパに拠点を置いて展開している。現在、ボーイング社のシェアは50%を割り込み、後発のエアバス社に逆転された感は否めない。現に、今年上半期の両者の受注数ではエアバス社の方が上回っている。

【ボーイングの新戦略】

しかし、ボーイング社も、こうした状況に対して手をこまねいているわけではない。例えば、エアバス社が、看板となる主力後継機として長距離向け大型機のA380をあげているのに対して、ボーイング社はこれに匹敵する747ではなく、7E7というエコノミータイプを打ち出すという戦略に転じている。

今年6月半ばに催されたパリでの世界航空機ショーの会場で、「ドリームライナー」という愛称で発表された7E7は、「超効率的」(Super Efficient)のサブフレーズとともにその全容が明らかにされたボーイング社の新たな戦略商品である。

7E7は、標準型200席、ストレッチ型250席の中型ワイドボディ機で、胴体直径は5.96m、キャビンの座席配置は左右8列タイプである。

エンジンは、推力30トン前後の高バイパス・ターボファンが2基。同クラスの767よりも燃費が17〜20%も少なく、13,000〜14,000kmの航続性能を持つ。飛行高度13,000m以上で、巡航速度はマッハ0.85を出すという。

このスペックからも分かるように7E7の最も大きな特徴はコンパクトにして高い経済性である。そして、機体の構造部材に複合材を使用していることも目新しい。胴体と主翼の基本構造が複合材で製造されているのは、旅客機としては初と思われる。

複合材使用の狙いは、重量を軽くすることであり、同時に耐久性も高まる。これまでは、複合材を使うことの難点として、製造コストが上がると考えられてきた。しかし、最新の技術による複合材は、コストアップすることなく重量を下げ、耐久性を高めることが可能となったようである。

【コストパフォーマンスと生産力】

7E7は、今年末か来年初めまでに最終的な仕様を固め、正式に開発着手を決める予定で2005年頃から原型機をつくり、2007年に初飛行、翌2008年には就航というロードマップが想定されている。

この製造に参加するのは世界5か国から21社がリスク負担を背負ってのパートナーとして仕事をする。日本からも主力の三菱重工業をはじめ、いくつかのメーカーがすでに名乗りを上げている。

特筆すべきは、最終組立てを3日間で終わらせるというものである。これまでの大型ジェット旅客機は、最終の組立工場に多種多様な部品類を持ち込み、飛行機となって出て行くまでには少なくとも2〜4週間は要していた。それをたった3日間で完成させるというのである。7E7には奇跡的ともいえる生産力が望まれることになる。

また、エアバス社の売れ筋であるA330に対しても、ボーイング社は、よりランニングコストの低い旅客機を計画している。つまり、ボーイング社は長距離路線向け大型機での対抗ではなく、コストダウン戦略でエアバス社に対抗しようとしていることが伺える。こうしたボーイング社の動きに対して、三菱重工が全面シフトすると、現在の作業量が1.5倍になるとも言われている。

【エアマーケットの特殊事情】

ボーイング社がエコノミー化を選択する背景には、地域間コミューターとして客席数の少ない短距離路線向け旅客機を数多く運行する状況に沿っているからだという。それを受けて737が、本国アメリカでよく出ている。因みに、三菱重工では、737を月産30機程度生産している。

対して、737の対抗機であるエアバス社のA320クラスはというと、これが月産20機は生産していると見られ、この分野におけるシェア争奪は、今後ますます激しくなると見られている。

短距離路線での小型化や運行頻度の増加傾向は、経済や社会情勢の不安定要因を背景にしていると見る向きもある。これにより、とうとう二大航空機メーカーによる市場パイ争奪戦は、航空機分野においても「安・近・短」のところまで降りてきたといえるのかもしれない。


ボーイング7E7(「航空の時代」より)
なお、記事情報の一部について西川渉氏の
「航空の時代(引用・転載フリー)」を参照させていただいた。