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ユーザー訪問:No.16 株式会社 和田製作所

No.16 株式会社 和田製作所

機械加工の現場から

3.「蝉」の心境
【4年サイクル】

航空機の製造ラインは、機械部門、板金部門、組立部門とあり、開発が定まれば、受注状況により多い少ないという状況こそあれ、その機種が無くなるまでは生産活動は継続する。

しかし、治工具部門であるWADAの範疇にあっては、通常のライン生産とは異なり、開発期以外はほとんど仕事にならない。

航空機生産における治工具部門とは、主に新機種の開発時や継続機種のマイナーチェンジ、あるいは生産シフトを行うときに必要な基礎づくりである。つまり、新たな製品づくりにおける品質の安定や生産体制の向上など、生産プロセスの確立と合理化という役割を担う。端的に言うと、航空機本体を造るというのではなく、造るために最適な道具や型枠などをこしらえるのが主たる仕事である。

その結果、治工具部門では、本格生産を前にした開発時期に受注が集中するものの、生産が軌道に乗ったあとは、メンテナンスを除いてはほとんど受注がないということになる。

モノづくりに携わる技術者として見ると、開発段階から関われるという魅力の反面、会社経営としてはあまり旨味がない。日常的な汎用品ならまだしも、航空機となるとそう頻繁に新機種が登場するわけではない。だいたい4年サイクルで、能力線を超える仕事が集中するのは6ヶ月間位だという。

典之社長は、こうした現状を「蝉だ」と喩えた。

とすると、蝉にとって訪れる至福の夏はいつなのだろうか。


【合理化とキャパの掛け合い】

しかし、いざ繁忙期を迎えると、受注が短期間に集中するため、逆の意味でこれも辛い。4年ごとの波にあわせてキャパを調整しなければならないからだ。

はざま期に沿った合理化体制へのシフトだけでは、高度な技術力を望まれる航空機の治工具ノウハウや技術者の確保に問題が残る。このことから航空機向け治具メーカーの生き残りは至難と言わざるを得ないのである。

かつて、治具屋は治具づくりだけに専念していればよい時代があった。つまり、大手の受注先から図面をはじめ、製作に必要な諸々のお膳立てをしてもらって、ただ忠実に作っていればよかったという時代もあった。だが、昨今では、発注元から提供されるのはCADデーターだけの配信と変わり、しかも、それが型や治具のデーターではなく機体本体や部品のデーターだけの場合も多くなり、それに基づいて直ちに型や治具の設計をしなければならなくなっている。

これとともにパソコンでデーター設計をする関係から、仕事の繁忙期がより短縮、集中化しているともいえる。1年から6ヶ月に、さらにそれをも割り込んでいるのが現状である。このような著しい変化に対して、パソコンはもとよりオペレーターの確保もできていない治具屋では仕事の流れに追随できない。さらに、そうした付加的な仕事を一括した受注でも、受注額はかつてよりも低く抑えられるようになったという一面があり、これまでのやり方では採算が合わず、製造コストをどうやって抑えるかが悩みであり、差別化の要因となっている。

また、NC加工機の高性能化が進んだことで、部品加工と型や治具製造の領域が曖昧になりつつあり、部品加工メーカーが型や治具にも手を出すという状況が進みつつある。