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ユーザー訪問:No.18 株式会社スグロ鉄工

No.18 株式会社スグロ鉄工

機械加工の現場から

技術を生み出す組織
【理想の企業を求めて】

スグロ鉄工は、現会長である勝呂謙二氏が興した会社である。会社を興すに至るまでをお伺いした。

勝呂氏は、中学を卒業してから、東京 浅草の履物屋に丁稚として入った。しかし8ヶ月で地元の沼津に帰ってくることになる。本人曰く「仕事はいやじゃなかったんですが、西伊豆生まれの私には東京の空気が合わなかった」と。

帰郷した氏は、親類が経営する鉄工所に務めることになる。そこで旋盤を覚え、約20年間勤め、独立してスグロ鉄工を興す。

独立のきっかけは、「自分は人に使われているだけの度量がなかった」という。

「自分ひとりが食っていくだけなら何とかなるだろう」と奥様と二人で独立した。

20年間、職工として身を置く会社からの独立。当時を振り返って度量がなかったと自戒するが、会社への不満も在ったのだろう。しかしながら、この時に得た技術と経営に対する考え方が、現在のスグロ鉄工の礎となっていることは想像に難くない。

独立した当時は、まだ汎用機、ベルト掛けの旋盤全盛の時代であった。

この間に、勝呂氏は確固とした技術を身に付けていく。

「今でも汎用機なら会社の連中には負けませんよ。1.0mmピッチのねじ切りなら1,500回転でできました。調子のいいときは、ねじ山が止まって見える」と笑う。

なるほど、現場の問題や苦労がよくわかるはずである。トップに偉大なる職人を置く組織は、おのずから技能者集団的な組織となって行く

NC旋盤の導入は、独立してから3年後、入力方法がテープから打ち込みへと移り変わっていった頃である。

当時、NC旋盤を導入するのは小規模な会社ではまだ珍しく、銀行もよく融資してくれたと振り返る。

「オークマさんのは、憧れの機械でしたよ」という。当時のオークマ製品は、他所の1.5〜2倍くらいの価格。「オークマ製品は、故障しても必ず元の精度に復帰できる。構造上ごまかしがきかない無理のない設計がすばらしい。ちゃんとすればちゃんとなる」という言葉をいただいた。

こうして機械に対する独特の感性が磨かれていった。

機械を設計している人のことはわからないが、と前置きした上で

「彼らはスペックを追いかけて設計し、ある程度までは使い方を想定することと思いますが、具体的に、新しくどんなことができるようになるかまでは考えが及んでいないんじゃないでしょうか。設計者が考えた以上の使い方を考えるのが自分たちの仕事」と話す。

その考えがあってこそ、マグネシウム加工をはじめとするさまざまな加工法が生まれてきたのであろう。


マグネシューム加工での逃げ・
ビビリ対策を実現している具体例


CADで設計して、上座&着座を削りだし


【努力しなくていい、がんばらなくていい・・・】

職人気質ともいうべき考え方には、さまざまな示唆が含まれている。

逆説的に本質を見極めようとする考え方は、技術論ばかりではなく、経営全般に行き渡っているらしい。

社是、社訓について尋ねると、含みを持たせながらこういった。「『努力しなくていい、がんばらなくていい』が経営方針です」

決して努力を否定している意味ではない。結果に結びつかない努力だけでは、評価をしないという意味である。

現在、多くの企業が導入しようとしている成果主義であるが、うまく機能している企業をほとんど見かけたことがない。

スグロ鉄工では、この成果主義が実に上手く実現されている。

「会社はオーナーの資産ではないんです。もちろん年によってはマイナスもありうる。株主の共同の持ち物なんです。私自身が経営者でオーナーなのですが、株は25%しか持っていません。現社長が24%、後は役員、社員が持っています。つまり何時でも経営者として働きが悪ければ辞めさせることができます。社員も経営者もお互い、相撲でいえば徳俵で後ろにはさがれない、真剣勝負ですよ」と屈託なく笑う。

確かに経営者にも厳しいものでなければ成果主義は維持できないのであろう。スグロ鉄工には血縁を役員には置いていない。独立操業に関わった奥様も、一従業員として雇用していたそうである。そのあたりは職人気質そのままに徹底している。

「自分の給料は、自分では決めてません。みんなに決めてもらうようにしています。もちろん手柄がなければ下げてもいいわけです」社員にも自覚と責任が身に付くであろう。 「自分を含めて、管理職に人間には言い聞かせていることがあるんです。『自分一人で働いても今もらっている給料分は絶対に稼げない。みんなで働いてそのおこぼれをもらっている』こう思うんです。この精神を忘れないようにしています」


C工程設計 機械操作 成果主義が導入される職場

【営業はいません】


経営者が自分に厳しく、成果主義を貫いている社風が、対外的にも独自の戦略を持つことは当然の成り行きである。営業戦略もユニークなものである。

「うちの会社は営業の名刺を持った人間はいません。いわばやってきた仕事の実績が営業、作ってきたものが名刺です」打合せには、会長と社長が客先に赴くことがほとんどという。

「トップの二人が来てるんですから、社に持ち帰って検討しますってのはないですよ。良ければその場で即決定。意思決定が早いのがいいです」無駄な間接工数が少なくなることには違いない。

しかし、独特の個性を持つ社風、請ける仕事の基準もやはりユニーク。
「商品の価値を認めてくれるお客さんにしか売りたくない」ときっぱり言う。

価値を認めてもらって、しかも世の中のためになるということが基本にある。価格だけの競争なら断るというのだ。
「あいみつになったらうちは降ります」という。

スグロ鉄工では、入念な事前準備があるのでイニシャルコストを見れば、他社よりも高くなることが多いという。しかし、特にマグネシウム加工などは、受注すれば最後までノーメンテで作業をこなす実力があるので、ランニングコストで考えれば、充分な競争力があると自信を持つ。

その部分で、現在の受注先メーカーへの不満も覗かせる。「多くのメーカーが、生産を中国へ持っていけば安くできると錯覚を起こしています。ランニングコストと品質を鑑みて考えて欲しいですよね」という。

マグネシウムに関しては、これからはその軽さと強度から自動車への採用に働きかけをしているとのことだ。