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ユーザー訪問:No.6 株式会社 松本精機

No.6 株式会社 松本精機

機械加工の現場から

3.「技術者の技を生かす町工場」

大量生産から少量生産の時代へと推移したいま、加工技術にもその影響が現れている。特に、小規模事業の多い町工場に望まれているのは、量産ではなく、高度な技術が必要な高精度の加工技術や、開発途上の試作品加工といった特化した技術である。

鈴木社長は、こうした時代の趨勢に注目する。

『実際の町工場においては、マシニングセンタの機能は十分に生かされているのだろうか、NC旋盤の削り方はこれでよいのだろうか』、という疑問に直面しながら悩んでいるのが現状であるという。

これからの町工場は、これまでに熟練し、蓄積してきた技術者のノウハウを生かす削り方を見つけ出すことの高い必然性と、通常の仕事としては引いてしまうような高難易度の仕事を受注できる態勢が必要だという。

一方、少ロットにして品質の均一性とスピード化をどう解決するかという問題がある。日に日に要求レベルが高まる加工技術業界にあって、高品質で高速の加工を数少なく行うために、それに応じた工作機械を選択することも大切で、例えば、古いNC旋盤の油圧チャックを取り外し、代わりにスクロールチャックを取り付けるという案も浮上している。『いかにも遅い手作業へと逆行するようだが、これによる効用は、チャックの締め加減という微妙な調整に適した方法であり、そのほうが確実なセッティングが叶うはず』だからである。今年から来年にかけては、多くの加工現場で「油圧チャックの取り外し」が予想されるという。

『こうした試みは、セッティングだけのことではない、極端な少ロット多品種や試作品の加工を行ううえで、一個一個の加工が手加減で調整できることの意味は極めて大きい』そうである。

古くさい言い方かも知れないが、こうした時に生かされるのが「職人の勘」であり、デリケートな技の違いである。「ハイテク」に対して「ローテク」という言葉があるが、ここで鈴木社長が言うのは、単にハイテクの対局としてのローテク志向ではない。

『NC旋盤やマシニングセンタのプログラムシステムはそのまま利用し、そのうえで熟練技術者の微妙な手加減を要する加工を行うという、つまり「ハイテクの先をいく最先端ローテク」による「究極の手づくり加工」ということなのである。これを実現できる力こそが、日本の町工場が長年にわたって蓄えてきた技術的、人的な資産であり、容易に他(外国など)が真似できるものではない』。

一方、こうした「最先端ローテク」を実現するうえで、高度な職人技術の共有化をどう解決するかという問題もある。ここでも町工場であることのよさが遺憾無くが発揮される。つまり、『大規模な生産現場では作業がシステム化されることにより、人間関係が疎遠となりかねないが、町工場では常に技術者同士、あるいは工場主と従業員が身近な存在にあり、そこに技術の共有土壌が備わっている』といえるのである。