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ユーザー訪問:No.7 イタテック

No.7 イタテック

機械加工の現場から

1.イノベーションは町工場から
「変わる加工製造業」

これまでの町工場をはじめとする中小加工製造業の多くは、親会社から、元請け、下請け、孫請けという生産プロセスに組み込まれた受注型産業として、受け身の立場にあった。

しかし、現在では、量産体制の縮小化に加え、海外からの部品輸入という流れによって、従来の生産プロセスは崩れ、個々の製造加工現場における差別化が顕著となっている。
町工場でも画期的で優れた加工技術があれば、精度の高い製品づくりに参加できるという競争力を持ち得る。発注元としても、規模や系列だけにとらわれるのではなく、加工製造における多様なアイデアと技術を持ち得る工場に発注した方が得策であると考えられるようになった。

前回取材した松本精機は、そうした新しい提案型の町工場への脱皮を図っている例であった。

そうした競争原理のなかで、模索され工夫される加工技術においても、従来の概念にとらわれない試みがある。例えば、NC旋盤で「絞り加工」を試みたり、マシニングセンタで0.5のシャフト加工に挑んだりといった技術である。当然のこと、これらは通常の加工方法では実現しにくいが、それをクリアする新しい加工手法が次々と具現化されている。

高周波による振動切削もその一つだが、これは刃物を取り付けた主軸だけを回転して切削するのではなく、支え部分に振動子を取り付け、その振動によって切削を行うという手法を発想することで、より高度な加工精度を達成する。たとえ老舗の町工場も、ここまでくるとベンチャービジネスと変わらない。
創業から間もなく半世紀を向かえる松本精機は、いわゆる戦後日本の盛衰を体感してきたどこにでも見られる(現在は少なくなりつつある)町工場である。現に、本社工場で工作機械を操っているのは、鈴木社長をはじめとして熟練技術を有する職人である。


MACTURN30
Y軸オフセットによる真円加工


B軸傾斜に依る多方向加工


「共同受注グループの発足」

松本精機がどこまで革新的意欲に満ちているか、その行動思考を知る上で重要な鍵となるのが、共同受注グループ「イタテック」の存在である。 「イタテック」は、単なる親睦団体ではない。板橋区商工課という行政による地域産業振興というバックアップを得ながら、製造加工の現場に携わる町工場の工場主によって自主的に組織運営され、共同受注や新技術の共同開発という新しいビジネスの芽を包含するビジネス共同体である。 いまから4年程前、板橋区の肝いり(同区のビジネスプラザ受注発注相談員有元舜治氏らの尽力)により、区の管理する工場ビルを中心に、金属加工などを行う入居工場とその周辺の町工場に呼びかける形で準備が整えられた。 中心拠点となる工場ビルに、15分以内で集まれることを前提に進められ、板橋区内の同業者12社がそれに呼応して集まり、「イタテック」として組織された。メンバーが近場でなければならない最大の理由は、情報の共有化、つまりできる限りリアルタイムでのコミュニケーションを確保することであった。

毎月1回の定例会には、全会員が欠かさず出席し、毎日の「朝会(あさかい)」という会合にも殆どの会員が出席する。また、当然のことだが、受注や顧客対応での随時の打ち合わせなどは、複数の幹事会社が中心となって綿密に行われている。

発足時の狙いは的を射っており、情報交換の密度は極めて高い状態だ。


板橋第一工場ビル


入居企業製品展示ケース